ハイエンドまでぶち抜くローエンドマーケティング。AppleやLINEから学ぶプロダクトをヒットさせる方法。

 

近年、毎日のように新しいWEBサービスが出現し、そのほとんどがユーザー数を獲得できずに潰れていきます。

新しいサービスや新しくサービスを作ろうとしている人の話を聞いていると、とにかくニッチを攻めるというか、人がやったことないものを作ろう、みたいなコンセプトで企画開発をしている傾向がすごくあります。

 

人の成し遂げた事のない世界を実現するという夢は本当に素晴らしいことで、起業家やクリエイターは是非全力でそれに取り組むべきだとは思いますが、でも、ユーザーの視点からだと、今までやったことないことをするって実は結構しんどいことなんです。

製作側がいくら綺麗な未来を描いても、ライフスタイルから逸脱するビジョンはユーザーにとっては高尚すぎる訳です。 「これ何の為に使うんだろ?」や「すごいけど自分の為じゃないなー」とユーザーに思われることがサービスやプロダクトにとって一番の機会損失。

「ハイエンドすぎる」こと。

これがユーザー数が伸び悩む最大の理由です。

ではユーザー数を獲得する為にはローエンドに届ければいい。それだけです。

そこで今回はハイエンドなゴールまでユーザーを引き上げるローエンドマーケティングについて書こうと思います。

 

今やPCとしてメジャーになっているMacですが、この型を覚えていますか?

1998年に発売された iMac G3。ジョブスが復帰した直後のプロダクトで、スケルトンな容姿は世界に大きなインパクトを与えました。

当時、僕の実家にもあったのですが、子供ながら「かっこいいなー」と思っていました。

 

でも、今のMacbookのような爆発的なプロダクトにはならなかった。なぜか。

「Macはデザイナーのようなクリエイティブな作業をする人が使うマシーン。」

これが当時のMacの一般的なイメージでした。もはやクリエイティブ以外使っちゃダメ位のイメージすらあったのを覚えています。

要するに大多数の”クリエイティブ職ではない人”にとってMacは「かっこいいけど自分が使うマシーンじゃない」だった訳です。この当時のMacこそ超ハイエンドなプロダクトでした。

 

しかし、2001年に発売された初代iPodの登場によりAppleに対するマスイメージが徐々に変化し始めます。

今まで使ってきたMDウォークマンが少しだけ便利になったデバイス。

PCよりも安価かつ、人々が気軽に使うウォークマンという人々のライフスタイルにより近いマーケットを攻め始めました。その後、iPod mini、iPod nano、iPod shuffleと軽量化やデザインの改良を重ね、ユーザーが気軽に使いたいと思えるようなプロダクトラインを構成していきました。

「iPodはクリエイティブ系職の人しか使わない」なんてイメージを持っていた人はもちろんいなかったですし、Apple社=クリエイティブ職種向けメーカーという企業イメージすら払拭されてきたと思います。

 

そして時代を変えたのが2007年に発売されたiPhone。iPodで人気を博したAppleにとって、人々の注目を集めるのはそこまで困難な事ではありませんでした。

パソコンに限りなく近い携帯電話。そんなiPhoneの登場こそ、私たちユーザーをMacbookに近づける最大のインパクトになりました。このiPhoneがiPhone3G、iPhone3GSと進化していくにつれてiPhoneユーザーで世界は溢れ始め、Apple製品を持つ事がいたって「普通」の事になっていきました。

便利だしかっこいいし、でも自分達でも使えるデバイスがiPodだったりiPhoneだったりした訳です。普段ほとんどパソコンを使わない人でもApple製品を持っているという状態は、スケルトンのiMacのみのプロモーションでは絶対に到達できないレベルだと思います。Apple製品がそれまで持っていた高かったハードルを下げることで、テクノロジーのリテラシーが高くない人でも製品を使える世界を演出した。これこそローエンドに届かせるマーケティング手法です。

僕がアメリカに初めて行った2009年、大学の講義でMacbookを使ってる人は40%ほどでしたが、現在ではクラスルームのほとんどがMacbookを使っている程です。iPhoneやiPodを使っている普通の学生が、そのままMacbookを使い始める。要するに、ハイエンドだったMacbookに登りつく階段のステップをiPhoneやiPodなどで1つずつ用意していった結果、かつてローエンドだったマスユーザーがハイエンドのプロダクトまで使えるようになった訳です。

 

これがAppleがハイエンドな製品を流行らせるためにローエンドから攻め込んだ手法です。

また、最近の例で言うと、2000万ダウンロードという脅威の成長を遂げたiPhone App “LINE”のマーケティングもまさにローエンドマーケティングです。

まず1つはウェブ業界の批判を無視したUI設計。

LINEがリリースされた当時、WEBリテラシーの高いWEB業界人からは「これは絶対にヒットしない。」「UIがひどい」などマイナスの意見が出ていました。PathClearなどUIが超秀逸なAppが続々リリースする中、LINEのような平凡なUIは受け入れがたかったんだと思います。進化の波に逆行しているというか。でも、実際のところLINEがターゲットとしているマスユーザーはPathもClearも知らないのが現実ですし、秀逸なUIを期待している訳でもないんです。彼らにとってはとにかく使いやすいUIがベストな訳で、ハイエンドな人がなんと言おうとその何百倍もいるローエンドな人が「使いやすい」と思うような設計をすることがLINEにとって最適な方法だったということです。

 

2つ目はこのベッキーのCM。

 

初めて見た時は「iPhoneアプリでCM打つの!?」と驚いたと同時に、「格が違うな」と思いました。

(実はアプリの企画段階から「テレビCMを打つアプリを作ろう」という話があったみたいです)

CMのシナリオは僕らのライフスタイルそのもの。友達と笑いたかったり、恋人になぐさめてもらいたかったり、そんな毎日の生活を少しだけ便利にするのがLINEという提案は人々の心にすっと入ってくるし、凝った工夫もないのでとても使いやすい。今流行のニッチ系サービスやライフスタイルを根こそぎ変えるサービスとはまるで逆方向なだけに、多くの人間の心に響きやすいストーリーだった。

また、テレビCMという最大のメディアに載せることでインターネットメディアの露出とは比べ物にならない程のリーチを実現しました。普段テック系の記事を読まない人の目にも露出することができます。こうすることで、iPhone Appを普段ほとんど使わないOLや学生、キャバ嬢などが使い始めるようになり、ローエンドのユーザーを見事に獲得することに成功しました。

 

多くの人々は自分のライフスタイルを変えるほどのサービスを望んでいません。毎日が少しだけ便利になればそれでいいんです。少しだけ便利になった後は、もっと便利なものが欲しい。それがイノベーションの連続だと思います。

ただ、それは決してハードルの低いビジョンのサービス開発を薦めている訳ではなく、ユーザーが高尚なビジョンに届くまでのマイルストーンを上手に設計するべきという事です。

 

Appleが究極的に売りたいのはAppleという世界観であってiPhoneやiPod、ひいてはiMacも全てその世界に到達させる為にステップなんだと思います。

多くの人をハイエンドまで届かせる為には、まずは土台を固める為にローエンドから攻める。土台を固めてから次のステップにジャンプする道を敷く。こうすることで、今まで想定することができなかった人たちですら巻き込んでいく事が可能になる訳です。

 

ローエンドをマーケティングすることはハイエンドなゴールまでぶち抜くための一番の方法です。

 

サービスを使ってくれそうなハイエンドな人をマーケティングするよりも、ローエンドにはいかにしたら届くか、ということを最も考えなければプロダクトの成長代はないと思っています。

 

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